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僕はロケット

ここに来て人の暦で1ヶ月ほど経ちました。
あれから一度も飛んでいませんが僕は今の暮らしに満足しています。

他の物達とお話ししながら過ごす月日は優しく穏やかで、自分が何物であるのかさえ忘れてしまいそうです。

でも、最近…彼を見ていません。初めて僕を飛ばしてくれた人。
週に一度は僕を磨いてくれてたのに、今週はまだ一度も来てくれてません。

その時、不意に彼の声が聞こえた気がしました。
「みんなの力を貸して欲しい。世界を人を守るために」
周りの物達にも聞こえたようです、いつもは静かな物達がざわつきます。「人を守る?」
「人を守る!?」
「人を守る!」
「人を、世界を守る!」

彼の言葉が真摯な気持ちに溢れているのが解ります。彼の心が悲しみに溢れているのが解ります。彼の心に意志があるのが解ります。僕は…

「彼の元に飛びます。一緒に行きますか?」
「行く」
「行く」
「行く」

「では行きましょう、彼と共に人を、世界を守るために。」

僕の心を彼の心に合わせて、さあ、行きましょう。彼の元に。
さあ逝きましょう彼と共に。

僕はロケット、再び彼と共に空を飛ぶ。
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