■戻る■
はぴねす『準・翌日』
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 12:49:51 ID:wCU07zhe0
そうっと目を開ける
あちこち身体を動かしてみるが軽い
どうやら、風邪はもう大丈夫みたいだ
「そうだ……雄真は?」
部屋を見るが雄真の姿はない。明け方に帰ったようだ
私の机の上に、おかゆが置いてある
まだ、温かい所をみるとほんの少し前に作っておいてくれたらしい
「雄真………」
眠りに落ちる前に微かに感じた感触を思い出して、唇に手を触れる
「うん……そうだよね……よし!学校に行こう」
私は登校するために準備を始めた
「ふぁ〜〜。さすがに眠いなぁ……」
早朝――
準の熱が下がったのを確認して、俺は家に帰った来た
勿論、登校する準備をするためだ
「ただいまぁ〜」
「あ、兄さん!お帰りなさい」
「おうっ」
「あの……準さんの容態はどうでしたか?」
「あぁ、熱も下がってたし、もう大丈夫だろう」
「そうですか…よかった」
「朝は、準におかゆを作るついでに喰ってきたから、後は着替えて用意するだけだ」
「そうでしたか」
「じゃあ、ちょっと着替えてくる」
「う〜〜ん」
俺は思いっきり伸びをする
「大丈夫ですか兄さん?だいぶ疲れてるみたいですけど?」
「あぁ、心配しなくても大丈夫だぞ。なんだかんだでちゃんと寝たし」
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 13:10:34 ID:wCU07zhe0
「それならいいですけど……兄さんまで風邪ひかないで下さいよ」
「わかってるよ」
少しいつもより遅い時間に教室に入る
一番最初に声を掛けてきたのはやっぱり――
「おはよう、小日向くん」
「おはよう」
「今日はちょっと遅かったね」
「うーん、まぁいろいろあってさ」
教室を軽く見回す
(やっぱ、準のやつ来てないな……帰りにもう一回様子を見てくるか)
椅子に座って早速寝る準備に取り掛かる
すももにはああ言ったものの、やはり睡眠時間は足りていなかった
「おやすみ〜……」
ガラッ――
「あれっ……っと、雄真〜」
教室に勢い良く入ってきたのは
「準!?……お前もう大丈夫なのか?」
「うん、もう平気だよ。でも良かった」
「なにがだ?」
「なかなか、こないから今日雄真休みかなって思って先生に確認しに行ってたのよ」
「あ――それは悪かったな」
「ううん、来てくれたんだからいいの。
もし私のせいで雄真が休んだらって思ったら………」
「心配するなって。お前こそ元気になってなによりだ」
「うん」
「おや〜おやおや〜なんか朝から見せ付けちゃってるけど、
なんかあったのかな〜〜?」
「柊!?」
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 13:34:28 ID:wCU07zhe0
考えてみれば、というか考えなくても朝から
こんなことをやってれば目立つわけで、いつのまにか
俺達は、教室中から好奇の視線に晒されていた
「さぁて、じっくり聞かせてもらいましょうか雄真〜」
いつの間にか周囲を囲まれている
(っていうか、しっかり春姫も聞く態勢だし……)
「い、い、いや別に、昨日準が熱をだして、看病するやつがいなかったから俺が看病してただけだ」
「風邪……なの?」
「ああ」
「ちょっと!大丈夫なの準ちゃん!」
心配そうに準を見る柊
「ええ。昨日雄真が一生懸命看病してくれてたから、もう大丈夫よ♪」
「よかったぁ……でも、なにかあったんじゃないかと期待しちゃったのに」
「昨日はずっと雄真に手を握って貰ってたの」
「な!?お前なに言って―――!!」
いきなり準が昨日のことを言い出す
(ちょっと待てよ?昨日…昨日…なんか大事なことを忘れてるんじゃないか?
……確か眠る前に……準がなにか言って……俺は………っ!!!)
唐突に全て思い出す。俺は眠る前に準のお願いを聞いて―――
「まて!!準っ!!昨日のことはそれ以上―――!!」
「キスしてもらっちゃった♪唇に♪」
春姫&杏璃&教室中
「な・なんだったってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 13:50:15 ID:wCU07zhe0
そこから教室は混乱の坩堝となった
「次のコミケはこれに決まりね!」
「いい同人誌が描けそうだわ!どっちが受けなのかしら!」
「てめぇ、こら雄真どーゆうつもりだ!!」
「真実の愛ね!それでこそ雄真だわ!」
「お前は今日、準ちゃんのファンクラブに殺されるぞ!」
「裁判だ!!判決は死刑のみ!」
「プラトニックですのね……」
柊「ついにやったわね!雄真おめでとう!!」
春姫「雄真くん……すごい……」
「って、こら準!お前一体なんのつもりでそんな―――!!」
私はすっと雄真の首に手を回す
はっきりとわかる。いままではここまで済ませていた境界線
もう冗談ではすまない
いや、もう冗談では済まさない
「雄真……んっ…………」
「〜〜〜〜〜!!!」
そっと呟いて二度目のキスは私から、雄真に口付けた
春姫&杏璃&教室中
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
教室は再び黄色い歓声に包まれた
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 14:14:45 ID:wCU07zhe0
俺と準のことは瞬く間に学園中に広がり、俺は一躍時の人となった
(あらためて…準の人気はすごいんだなぁ……)
と、まぁそんなことを投げやりに考えてしまう
既に俺は目の前にいる人と会話するのを諦めて、ひとり思索に耽っていた
「きゃあぁぁぁあ☆やったわ!ついにやったわね!雄真くん♪
あえて困難な道を選ぶなんて、お母さん感激しちゃう☆」
「違うっ!?」
「それで、準ちゃん、結婚式はいつにするの?」
「私は、今すぐにでもいいですよ。ね、雄真ぁ?」
「勝手に、話を進めるんじゃない!!」
「そうねぇ、私も雄真くんのお母さんとして準ちゃんの、ご両親に挨拶しにいかなきゃ」
「はい♪両親も雄真くんだったっらっていつも言ってくれてますし」
「障害は――」
「なにもありません☆」
がしっと手を握り合う二人
(もうだめだ…………)
二人はもう止められそうになかった
お昼を食べ終わった後も、ファンクラブの審議会にあったり、教職員から、
『お前ならやれる』とか変なお墨付きをもらったりと、まさに怒涛の一日が経過した
最後のチャイムが鳴る
「やっと放課後か………」
既に俺は戦地に赴いた兵隊の如く疲れ果てていた
「雄真〜、一緒に帰ろ♪」
明るくそんなことを言ってくる準を、恨みがましく見る
「やん、もうそんな目でみないでよ〜ささ、帰りましょ」
準にせかされて俺は席をたった
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 14:46:53 ID:wCU07zhe0
帰り道を二人無言で歩く
なにか文句を言おうにも、準はずっと俯き加減で歩いている
しばらくしてから、ぽつりと準が呟く
「迷惑………だったかな……?」
チクリと胸を刺す言葉
「あ、当たり前だろ!?おかげでな俺はなぁ!!」
「そう……よね………」
ぱっと顔を上げる
そこには目にいっぱいの涙を溜めた準の顔があった
「でも!でもね!……昨日もし雄真がしてくれなかったら、諦めようと思ってたの!!
そしたら、いつもみたいに雄真の隣で笑っていられるように……
でも、もし……キスしてくれたら、私はほんとに雄真のことを……」
「俺の……所為か……?」
俺が昨日してしまったことがいま準を泣かせているのか
「私は、男だから……本当にみんなに信用してもらうにはああするしかなかったの
でも、その所為で雄真にたくさん迷惑かけちゃって……昨日もあれだけしてもらったのに、
また、迷惑かけて………」
今までに準が俺にこれだけ真っ直ぐ思いをぶつけてきたことはない
それだけに、こいつの真剣さが伝わってくる
俺はこいつの思いにどう答えてやればいい?
少なくとも真剣に答えなければならない
「なぁ、準。そのなんだ今はまだ、俺は気持ちに整理をつけられないんだ。なんとも急な
展開だしな。少し疲れもあるしさ……」
「雄真……私のこと…拒否しないの?いいんだよ!それは当然のことなんだよ!
雄真が私のこと否定しても、それは普通のことなんだから!!」
自分でその言葉を口にすることはどれだけ辛いのか
小さく肩を震わして、溢れ出した涙を拭おうともせず、俺の気持ちを優先させている
その姿は、本当にただの――
「女にしか見えねぇよ」
「え………?」
「お前の気持ちはわかった。今度は俺から言うよ。でもな、俺も時間が欲しいんだ、
明日…明日俺の気持ちを伝えるよ」
はぴねす『準・翌日』2006/04/13(木) 15:01:40 ID:wCU07zhe0
「うん」
いつもの分かれ道
ここからは反対の道を帰る
「でもな………」
準の身体を引き寄せる
その姿を見て俺はそうすることが正しいのだと自分に言い聞かせる
「――――!?」
「迷惑だとか、嫌いだとかそんなやつに、俺は絶対キ、キスしたりしないぞ」
(ええい!!一回も二回も同じことだ!!)
が、そこは気持ちを整理しきれない悪さか、俺は唇ではなく頬にちょんとキスした
「ま、また明日な」
「雄真………」
その頃
???「うわぁお、やっぱ雄真やるときはやるのね〜」
???「ね、ねぇ、やっぱり良くないよ覗き見なんて…」
???「なに言ってるの、さっきまで身を乗り出してたくせに」
???「も、もう杏り……んぐ!!」
???「し!静かにしなきゃばれるでしょ」
正体不明の二人組みが覗き見していた
『翌日』おわり
■戻る■