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はぴねす『準・昨日』
はぴねす『準・昨日』2006/04/15(土) 11:29:49 ID:OCZzyEXm0
お昼休みになって私は雄真のほうに声を掛ける
「ねえ、雄真一緒にお昼…………ってどうしたの?」
いつの間にか私の周りに春姫ちゃんと杏璃ちゃんがいる
「ねえ、準ちゃん一緒にお昼食べない?」
「いいけど、雄真も………」
「あぁ…雄真いいの!!」
「?」
「ごめんね」
「ん〜、いいけどどうかしたの?」
「いいから、いいからこっちこっち」
「え?あ?ちょっと」
何故か中庭まで連れて来られる
確かに天気は快晴で気持ちいいけど……
「ささ、ここでお昼食べましょ」
「うん……」
「あ、敷物用意するね」
手際よく準備をする二人
「うん、準備も整ったし、聞きたいんだけど準ちゃん」
「なにかしら?」
「いま、準ちゃんと雄真は理想の二人って言われてるじゃない?」
「えーっと、少し恥ずかしいけど……」
いま学園では二人はまさに真実の愛の体現者と言われていた
それはともかく
「どうして準ちゃんは、その…雄真のこと好きになったの?」
「私も聞きたいな。もし、よかったら教えてくれる?」
きょとんと目を瞬かせる
「そんなことだったの?もうなにかと思って心配したじゃない
うん、いいわ。話してあげる………あれは……」
私は、いまでも昨日のことのように思い出せるあの日のことを話し始めた
はぴねす『準・昨日』2006/04/15(土) 12:18:52 ID:OCZzyEXm0
「あれは、私が小学校の頃ね………」
記憶をゆっくりと辿って行く
「どうしておまえ、おんなのかっこうなんかしてるんだよ」
今までに何度も聞いた言葉
自分達と違うものに容赦なく牙を向ける
どうしてなんて言われても、私にはこれが普通だからわからない
でも、大丈夫。きっと先生が助けてくれる
「いじめはいけません」
ほらこんなふうに――
学校が終わって、私はひとりで公園にいる
なにかして遊ぼうと思ったのか、私はブランコに乗っていた
友達なんていないのに、ひとりで
その時、声がした
聞き覚えのある嫌な声
「あ、おまえなにしてるんだよ」
いつも私をいじめてくる嫌な奴
でも、どうしようここには先生はいないのに
「おまえおとこだろ!なんでそんな格好してるんだよ!」
乱暴に身体を捕まれる
「いや!やめてよ……!」
「まえから気に入らなかったんだ」
恐い 恐い 恐い
私はなにもしてないのに、どうして?
男の手が顔の前に迫ってくる
(殴られる――!?)
はぴねす『準・昨日』2006/04/15(土) 12:40:04 ID:OCZzyEXm0
「あれ……?」
どうしたんだろう?なにも起こらない
「な…に……?」
目を開けると頬を押さえて蹲っている
「え………?」
いつの間にかそこにはもうひとり男の子がいた
「あ………」
目の前に庇うように立っていたのは、私の知っている顔
私はその子を知っていた
学校に来る時、いつも小さな妹の手を繋いで学校に来る兄弟
お兄ちゃんに手を引かれている妹はとても幸せそうで、
兄弟のいない私は、いつも羨ましそうにその兄弟を見つめていた
「だいじょうぶ?」
「え?…あ、あの、はい」
いきなり質問されて慌てて答える
「よかったぁ」
ふっと胸を撫で下ろす男の子
「お兄ちゃん大丈夫?」
妹もいたのか、いつの間にか近寄ってきた
「うん、大丈夫」
いつの間にか私を苛めてた男の子はいなくなっている
「女の子を苛めるなんて最低だね」
どうしたんだろう、なにもされてないのに胸が痛い
言わなくても、いいはずなのに自然と言葉が口からこぼれる
「わたし、おとこだから」
「へ?」
兄弟そろってきょとんとしている
「ほんとなの?」
「うん」
自分で胸をぺたぺたと触ってみる
「そ、そうなんだ」
これで、嫌われるかもしれない
はぴねす『準・昨日』2006/04/15(土) 12:58:38 ID:OCZzyEXm0
そう思うと涙がでそうになった
「でも、可愛いね!とても男の子には見えないよ!僕と友達になってくれる?」
「………え?」
友達……?私と?
「だめ……かな?」
手を差し出して来る
いつも隣にいるこの子が幸せそうに握っている手
その手に私も、恐る恐る手を差し出した
「う、うん……」
「そっか!!ありがと!じゃあ一緒に今から遊ぼう!!」
とびっきりの笑顔をその顔に輝かせたのを見て
私は心臓が高鳴るのを感じた
「と、思ったけど、やっぱり秘密にする」
「え〜〜なんで〜〜?」
「うーーん、これは雄真とも大切な思い出だから、私の胸にしまっとく」
「そうだよね、やっぱりそれがいいよ」
「あ、ちょっとなに春姫軽く裏切ってるの!?」
「ふふふっ」
あ、そういえば雄真はどうしてるんだろう……
せっかく一緒にお昼しようと思ってたのに……
一方
「おまえと二人だけで食べるの久しぶりだな」
「全然っ嬉しくない!!」
男ふたりでお昼していた
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