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はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 1/12投稿日:2006/11/09(木) 19:05:14 ID:mwAFCBMf0
瑞穂坂学園きっての才媛、神坂春姫は嘘の塊だった…と言ったら、誰か信じてくれるだろうか。
両親共に魔法と縁遠かった自分に魔法科で誇れるような魔力はなかった。
魔法科を望む私に遠まわしに反対した二人の為に必死で勉強をして、それでも主席で入学できたのは絶対に運だと思う。
トップで居続けられたのは独学で学んだ魔法が入学後に習う範囲まで進んでいたから。
そして私の呪文に興味を持った先生に師事する事が出来て…きっと先生の下でなら誰だって私以上に成長しただろう。
クラスで友人と呼べるのはたった一人だけだった私は、誰からも嫌われないようにするしかなくて。
姫なんて呼び名はとても自分に相応しいとは思えないのに、それを演じ続けた。
……このまま眠ってしわになった制服のまま学園に行けば、優等生なんて思われなくなるかな?
悪い方向にばかり考えが進むのは自信を持てないような姿で居るからだ。
そう思いながらも、とてもベッドから起き上がる気力はなかった。
逃げるように学園から戻って、そのまま横になって。時計の針はもう何周しただろう。
「ちゃんと勉強、しないとね。院の試験には落ちたくないもの…」
そんなの嘘。院で魔法を学ぶ事に元から興味なんてない。
「先生の期待も裏切れないし…」
そんなの嘘。先生が期待してるのはきっと私じゃなくて、彼。
「杏璃ちゃんも応援してくれてる…」
そんなの嘘。ただ彼と一緒に居たかっただけだ。そう、彼と。
「ダメ、考えちゃダメ…っ」
嘘。横になって考えたことは全部彼の事だった。
「頑張らなきゃ、頑張らないと…」
嘘。
私が魔法を学ぶ理由は もう、ない。
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 2/12投稿日:2006/11/09(木) 19:06:19 ID:mwAFCBMf0
学生にとって放課後に入る瞬間は最高に幸せな時間だと思う。
自室に戻れば授業以上に集中して勉強する事になる私でも、気分は軽くなる。
「雄真ー、今日は久しぶりに男二人の熱いゲーセンガチバトル!…といかないか?」
放課後は大人数で盛り上がるのを好む高溝君がわざわざ男二人なんて言うのは
きっと院へ入る為の試験に向けて毎日机と向かい合っている私を気遣ってくれているから。
申し訳ないようでいて、そんな風に考えてくれる友人の存在が本当に嬉しくて。
「……でよ、俺が代わりに鮮やかにクレーンを操作してでかいウサギを取って!
もちろん彼女はもうメロメロ!そのまま今夜は熱い一時を過ごぶべらっ!」
「その手の動き、それだけでもう本当に犯罪だぞお前…」
あれさえなければ夢では終わらないと思うんだけど、ね
「んでゲーセンだけど、悪いけど今日は御薙先生に呼ばれてるんだ。また今度にしてくれ」
「御薙…って何の先生だ?」
「確か魔法科の先生でしょ?杏璃ちゃんの用事を待ってあげるのよ。
もう、わかってきたじゃな〜い、雄真。これからの男はマメさが大事なんだからね」
「お前がマメなのは認めるが、女側から言ってるように聞こえるな…?」
いつものやり取りをさえぎったのは、元気な親友の声だった。
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 3/12投稿日:2006/11/09(木) 19:07:08 ID:mwAFCBMf0
「呼ばれてるのはあたしじゃないわ、雄真よ雄真。でも一緒に行ってあげるんだから、本当にマメよね〜あたし」
「え…小日向君が呼ばれているの?」
「ああ、何でか俺なんだよな。男手が要るとかそんな感じだと思うんだけど。」
思わず口を挟んでしまったのは最近の先生の忙しさを知っているから。
魔法科の校舎に結界を張る作業は大詰めを迎えていて、自分の研究にも手をつけられないと愚痴っていたくらいなのに。
「じゃああたし達はもう行くから、また明日ね。春姫も気晴らしならいつでも付き合うんだから、あんまり根詰めるんじゃないわよ〜」
考えている間に仲良く出て行った二人に、ほんの少しだけ胸が痛んだ。
子供みたいに初恋の人を追いかけている自分が、好きになれるかもしれないと思った人。
彼の隣に居るのが自分だったら……大切な親友の恋人なのに、そう考えたことは何度もあった。
それは今までの自分を否定するようで。そして考えれば考えるほど淡い思いは強くなって。
そんな中途半端な気持ちと試験のストレス。そして彼女の最後の言葉が私の好奇心を後押しした。
「折角だから私も先生に話て来ようかしら。聞きたいこともあったし…」
独り言のように告げて、マメな男について議論する二人に声をかけて教室を出た。
もし二人の用事が早く終わるようなら、一緒に帰ってからかってみるのもいいかもしれない、なんて。
自分勝手な嫉妬心でそんなことを考えていたから
一番知りたかった事を
一番知ってはいけなかった事を
知ってしまったのかもしれない
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 4/12投稿日:2006/11/09(木) 19:11:32 ID:mwAFCBMf0
二人とも、まだ居るかしら?
まだ塗料の香りの残る魔法科校舎の一室。見慣れたドアの前で、私は簡単に身なりを整えていた。
教室を出たところで担任の先生から声をかけられて院への編入についての書類を渡された。
説明にかかった時間は5分と少し。小日向くんの言うように力仕事なら丁度始まったところかな?
そしてノックをしようと腕を上げた、その瞬間。
「…それはね、小日向くん。あなたが私の息子だから、よ」
「…っ!?」
漏れ聞こえた声に全身が緊張して、入った力そのままに腕を叩きつけそうになった。
私が先生に師事した理由。先生の弟子として院に入る理由。
私の呪文の組み立てが、あの日の彼の呪文が、先生と余りにも似通っているから。
先生と親しくしていればきっと彼と会う機会がある、そんな希望にすがって。
離婚暦のある先生に直接家族の事は聞けなかったけれど、弟子が居ないことは何度も確認した。
呪文の組み立てから教えるような弟子は、居なくて。そして
息子 同い年 妹をいじめっこから助けるような
視界が狭まる。世界が色をなくしていく。
遠ざかる現実の中で、その声だけがはっきりと聞こえた。
「エル・アムダルト・リ・エルス・ディ・ルテ…」
聞きなれた呪文が、聞きなれた声で唱えられる
少し緊張したその詠唱があの日の少年と重なって…
気づいた時には歩きなれた公園に居た。
無我夢中で歩いて来たはずなのに、背筋を伸ばしてまっすぐ歩いていた自分に…もう一度、目眩がした。
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 5/12投稿日:2006/11/09(木) 19:12:21 ID:mwAFCBMf0
結局朝まで起き上がることはなかったけれど、そのまま登校する勇気もなかった。
朝食をとる代わりに制服にアイロンをかけ、お弁当を作る代わりに笑顔の練習をして。
いつ眠ったのかも覚えていないけれど、幸い顔には出ていないと思う。
「聞いちゃったから…ちゃんと言わないと、ね」
それは立ち聞きをした事をか、それとも自分の想いをなのか。
昨晩ずっと考えていたはずなのにそんな事すら決められなかったけれど
教室で彼を目にすればもうこの気持ちは抑えられないと、本当はわかっていた。
「…ごめんなさい、私が聞くべきじゃないと思ったからすぐに離れたんだけど…」
「いや、別にいいって。むしろ入ってきてくれても良かったぐらいだよ。
しかしかーさんに聞いたら本当だって言ってたし、まさか実の母親がこんなに近くに住んでたなんてなぁ」
二時間目が終わり実験に向かう途中、事情を聞いた小日向くんは少しも気にしなかった。
私が聞いていたことが気にならないのは、母親を知って混乱しているせい?
それとも…私になんて、興味がないから?
そんなこと考えたって、何にもならないのに…。
「二人とも…放課後に時間、あるかな?」
「俺は暇だけど杏璃は…」
「あたしは今日もOasisでバイトね。ど〜せ昨日の話しなんでしょう?雄真貸すから、好きにしちゃっていいわよ。
終わったら部屋に行くから、こっちはその時でもいいでしょ?」
「うん、ありがとう杏璃ちゃん。小日向くん、いいかな?」
「貸すっておまえな…まぁ、いいけど」
やっぱり彼はぼんやりしていて。
それでも杏璃ちゃんのことはちゃんと見ていて…
二人に割り込むことなんてできない。割り込みたくなんて、ない。
それでも私も……ううん、私を、見て、欲しかった。
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 6/12投稿日:2006/11/09(木) 19:13:10 ID:mwAFCBMf0
「そう言われても…。半年で覚えこむなんて、無理だよなぁ。
でも杏璃はやたらやる気で。来年も同じクラスだ〜、なんて言ってさ」
先生の話は、来年度から魔法科に編入してはどうか、という誘いだったらしい。
集中講義で半年で授業についていけるようにする…というのは確かに無茶だけど
私がこれからする話はもっと無茶かもしれない。
緊張で、後悔で、そして認めたくない期待で、脚が震える
「小日向くん…覚えてる?」
覚えてるはず、ない
「まだ魔法を使っていたころ、今はもうなくなった公園で…魔法を使って、女の子を助けたこと」
たとえ覚えていても、特別な想い出なんかじゃない
「すももちゃんが言ってたみたいに、昔はよくいじめっこと喧嘩したりしていたの」
実の母親を知った翌日にこんな事を言うなんて
「男の子が何人も居て。どうしようって、助けてって、そう思った時」
私の独りよがりな想いなのに
「…それは凄く暖かい光で。それに憧れて、私は魔法使いを目指したの」
彼は驚いて…でも、何かを思い出したようで
「それが、私の初恋」
私を真剣に見つめてくれて
「そしてずっと、今も、好きです」
だからこそ、答えはわかっていて
「…小日向くん、あなたが」
もう、脚は震えていなかった
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 7/12投稿日:2006/11/09(木) 19:14:13 ID:mwAFCBMf0
怒ってもいいはずなのに、先生は機嫌良く一枚の用紙を手渡した。
「見た通り、ね。悪くはないわ、決して。でも良くも…ない」
私の院編入試験。特に重点的に見られるのは魔法の技術全般。
当日は落ち着いていたと思う。十分に練習もして、詰め込めるだけの理論を詰め込んだ。
そして、その結果だった。
「全力じゃなかった…訳じゃないわね。問題があったというよりは、迷っていた、かしら?」
「…はい、迷っていた、かも……しれません」
あっさり見破られても動揺はしなかった。むしろ話す理由になる、そう思った。
「……………」
でも、言葉は出ない。
親友の彼に、あなたの息子に恋をしていて。
彼が魔法科への編入を決めたから、自分も魔法科に残ればせめて近くに居られる。
もしかしたら、まだチャンスだってあるかもしれない。
そんな不純な気持ちで期待を裏切ったなんて、口には出せなくて。
「……私の一番の親友、ね。音羽って言うの。ここでOasisって食堂をやってるんだけど…知っているかしら」
「…? はい、小日向くんのお母さん…っ、ごめんなさいっ」
「いいのよ、彼もそう言っていたし…彼なりに私に通じるものを感じてくれているから、それだけで十分。
それよりもね、私と音羽は同級だったんだけど…」
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 8/12投稿日:2006/11/09(木) 19:16:37 ID:mwAFCBMf0
自分で言うのもどうかと思うけど、学生時代から魔法の才能は人一倍あったの。
天才だ、なんて言われる事も多かったけど…直接私に言った人は居なかったわ。
表面ではみんなと仲良しで。中を見れば誰とも仲良くなんてなくて。それでも、変える気もなかったわ。
でもね、音羽と出会ったの。
普通科で魔法と何の縁もなかった音羽だけど私の名前は知っていて。
その私名前を聞いて最初に言ったこと、今でも覚えてるわ。
「このコロッケパン、元に戻せない〜?お願い〜!」だって。
初対面の相手に何を、なんて欠片も思わなかったわ。
それは音羽の才能でもあったんだけど…私は嬉しかったの。
噂は聞いてるはずなのに、気を使って魔法使いの私から目をそらしたりしないで、友達みたいに頼んできて…。
それからね、音羽と一緒にあれこれするようになったの。
随分と無茶もしたわ。購買のパンを変えろって抗議運動したり、学食を作れって署名を集めたり。
今では自分で作ってるぐらいだもの、よほどこだわりがあるんでしょうけれど…。
とにかく、楽しくてね。魔法なんて捨てて普通科に移ろうかって思ったことも一度や二度じゃないわ。
結局編入はしなかったんだけど………ええ、そうよ。私にも来たわ、特待生の誘い。
察しはつくでしょうれど、蹴ったの。今はもっと大事なものがあるって、そう言って。
私はそれで後悔していないけれど…あなたはわからない。
迷うなら存分に迷いなさい。
この結果なら私の一存で合否を動かせるわ。
あるんでしょう?
もっと大事なものが、今のあなたには。
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 9/12投稿日:2006/11/09(木) 19:21:51 ID:mwAFCBMf0
「なるほどね〜、そんな仲だから、魔力を暴走させた雄真を音羽さんに預けた訳ね。
はむふむはむ…もちろんそんな単純な話じゃないんだろうけど…」
その日の夜、私は寮の杏璃ちゃんの部屋を訪ねていた。
特待生の話は杏璃ちゃんにも関係がある。
そして、もっと大切な話もある。
わざわざケーキまで出してくれた親友に、私は、裏切りを告げる。
「で、その話を聞く限りだと〜……春姫はあたしと離れたくなくて魔法科に残る、ってことよね〜。
も〜モテる女は大変ね、本当。でも悪いけど、あたしはゆ…ゆぅ…雄真一筋、だからね?」
まだ小日向くんに告白した事は話していない。
彼女の様子は普段どおりだったから、多分彼も話していない。
絶対に怒る。間違いなく悲しむ。きっと嫌われる。それでも。
「ううん、違うの。杏璃ちゃんも大事なお友達だけど…」
「だけど、だけど?」
「私は…」
「私は〜?」
…っ
「…小日向くんが、好きだから、魔法科に残るのっ」
「それはいいけど、雄真は絶っっっ対渡さないわよっ」
…え?
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 10/12投稿日:2006/11/09(木) 19:22:26 ID:mwAFCBMf0
「…大体、何で雄真があたしに隠すと思ったのよ。もっのすごい浮気フラグよね、それって」
「だって杏璃ちゃんの様子、どう見ても普段通りだったからっ」
「むしろあんたの様子がおかしかったのよ。あれだけどんよりおろおろされると怒る気も起きないわよ本当…」
杏璃ちゃんがケーキまで用意していたのは、残念賞だったらしい。
私は想像以上に参っていたみたいで、ここ数日は二人とも私の試験の心配ばかりしていたとか。
でも、軽く流されているからって、甘えるわけにはいかない。
「…ごめんね、杏璃ちゃん。やっぱり酷い裏切りだと思う。先に杏璃ちゃんに伝えるべきだってわかってたのに…」
「まあ、いい気分はしないけど…。でもね、ずーっと負けてきた春姫相手に1本取った訳だし。
全然魔法と関係ないのが気に入らないけど、まぁこの勢いで今期トップはいただきねっ」
親友だからって、曖昧に許しあうなんてダメ
「そうよね、杏璃ちゃん、何度負けてもずーっと私を追いかけてきたのよね」
「追いかけるだけじゃないわよ、いつか必ず、絶対追い越すんだからねっ」
そう、甘えるわけにはいかない
「…でもね、杏璃ちゃん、追いかけられる方も大変なのよ?少しも手を抜いたりできないんだから」
「な〜に?限界だって言うならいつだって代わってあげるわよ?早いか遅いかの違いだしね」
だって、私だって
「ううん、違うわ。これから杏璃ちゃんも追われるっていう話よ、私に」
「…へ?」
杏璃ちゃんを甘やかすつもりなんて、ないんだから
「いつか必ず、絶対、小日向くんは私がもらうからっ!」
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 EP1(11)投稿日:2006/11/09(木) 19:24:52 ID:mwAFCBMf0
教室に注ぐ朝の光は穏やかで、開かれた窓からはやさしい風が踊る。
その上隣に大好きな人が居るなんて、本当に…幸せ。
「おはよう、小日向くん。魔法の勉強は進んでるの?」
「どんどんわけがわかんなくなってきて、その上からさら覚えさせようとするもんだから…
本気で諦めようかと思ってきたよ、編入なんて」
そんな事を言いながらも鞄から魔法書を取り出す彼は少し楽しそう。
「大丈夫、一つ一つステップを踏んでいけば必ず理解できるから。
私で良ければ出来るだけ力になるけど…昨日わからなかったのは、何処?」
隣から分厚い本を覗き込む私も、きっと笑顔になっていて。
「それはね、起動呪文と反発するからダメってそれだけで終わっちゃダメなの。
わざわざ一編使っているのには理由があって…」
…ぁぁぁ
かすかに聞こえた声は、幸せな時間の終わりを知らせる鐘の音。
「…もう、時間切れなの?」
「ホームルームまでは10分近くあるぜ?」
…ぁぁぁぁぁぁあ
シンデレラの魔法は、思ったより早くとけるみたいね。
「すぐにわかるから、窓から離れて」
「…なんとなく、わかっ…うわっっっ」
「……ぁぁあああああああむふぇええええええええええええいぃ!!!!」
はぴねす!(スレ650)杏璃ルート後/春姫 EP2(12)投稿日:2006/11/09(木) 19:25:51 ID:mwAFCBMf0
「杏璃ちゃん、窓から入ったら危ないって前にも言ったでしょう?」
「んなことより春姫ぃぃぃぃ!あんた、あたしの目覚ましの時間、遅らせたでしょう!」
「杏璃ちゃんが後1時間、って言ったから…」
「言うわけないでしょうがっ!」
もちろん本気で邪魔をしたことなんて一度もありません。
「雄真〜!あんたも何春姫相手にデレデレしてるのよっ」
「どんな言い掛かりだそれっ!」
でも、この気持ちは何もせずには抑えられなくて。
「頑張ってね、杏璃ちゃん」
「元凶はあんたでしょうが〜っ!」
わがままで、ちょっといじわるな私。
でも、それが本当だから。
「はぁ、はぁ……春姫、もうちょっと…控えめにならない?」
「限界なら、いつだって代わるわよ?」
「お・こ・と・わ・り・よっ!」
…やっぱり、迷惑?
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