「あの、先輩……」
少しためらいがちにさくらが言ったのは、デートの帰りで話題が一段落した時だった。
「私……そろそろ“あれ”が来るんで……」
「あれって……あれ?」
「はい……」
恋人になってからそろそろ半年。さくらの発情期が来るのは3回目だった。思えば最初の発情期は根性で乗り切り、次は体力の限りを尽くしたものだ。しかしまたあの日々が来るとなると、やはり疲れるかもしれない。
まあ、発情期のさくらも甘えんぼで可愛いんだけど……。
「……あの……ご迷惑をおかけします……」
頬を赤らめながら、さくらが頭を下げる。俺は慌てて首を振る。
「そんなことないって。いっぱいサービスしたげるからさ」
「……はい……」
真っ赤になってさくらが俯く。
とは言ったものの、さすがに芸もなくやりつづけるのは大変で。でも求められて応えないのもさくらに失礼だし。
俺は以前から考えていた事を実行する事にした。
「あの……先輩……」
二日後の昼休み、さくらが教室までやってきた。こんなこともあろうかと、コンドームは準備してある。
しかし近くでよく見ると、まださくらはそれほど切羽詰ってはいないようだった。
「さくら、大丈夫?」
「はい……。でも、今晩は先輩の家に泊まってもいいですか?」
明日は休日だから、思いっきり出来る。それでさくらも我慢しているのだろう。俺にしても、家の方がいろいろと便利だ。
「構わないけど、今は良いの? ちょっとぐらいなら……」
「いえ、下手にすると、本格的に始まっちゃいますから……」
物欲しげな表情をしながらも、さくらは足早に立ち去っていった。なんでも、あの期間は俺の顔を見るだけで欲しくなるそうだから、これも仕方ない。
「なんだよ、短い愛の語らいだったな」
席に戻ったところへ大輔が茶化してくる。俺はシニカルに溜息をついてみせた。
「愛故に、人は戦わねばならんのさ……」
家に帰って準備を終えた頃、チャイムが鳴った。ドアを開けると、予想通りにさくらだった。
顔はもうかなり上気している。知らない人が見れば、病気だと思うだろう。
「……いらっしゃい」
お泊りグッズの入ったバッグを部屋の片隅に置くと、間髪入れずにさくらは抱きついてきた。服ごしにも普段より熱い体温が伝わってくる。
「すみません先輩……もう……」
さくらが唇を重ねて、激しく舌を動かす。片方の手は俺の股間をすりあげてくる。
ふんふんと荒い呼吸が聞こえる。たっぷりと唾液を交換した後、俺は尋ねた。
「あの、シャワーとか浴びなくてもいい?」
こんな展開は予想していたので、俺自身はしっかりとシャワーを浴びていたのだが。
「匂い……気になりますか?」
「いや、一緒に浴びようかななんて……」
俺の計画その一。付き合い始めてから結構たつけど、お風呂場でしたことってないからなあ。これを機にちょっと試してみようかなと。
しかしさくらは泣きそうな顔で体を擦り付けてくる。
「お願い先輩……私もう……」
そんなふうに言われたのでは、とりあえず一発やるしかないでしょう。
俺はズボンを脱ぎ、既に固くなった分身を取り出した。コンドームを装着する間に、
さくらも待ちかねたようにパンツを脱ぐ。見たところ、パンツに敷いたナプキンはすっかり濡れそぼっていた。
俺は壁を支えにしてさくらを抱え上げると、前戯も何もなく、いきなりさくらのあそこに突きこんだ。
「はあぁ……」
喉をのけぞらして、さくらが喘ぐ。歓喜の震えが収まった後、片足を俺の腰に回し、位置を調節して動き出す。
「あぁ……あぁ……あぁ……」
目尻に涙をたたえ、額にきらきらと汗を浮かべて喘ぐさくら。俺も必死で腰を揺すり始める。
「あ……先輩……!」
キスで舌をむちゃくちゃに吸われた。本当は胸とかも揉みたいんだけど、この体勢では体を支えるのが精一杯だ。かと言って寝転んだりしたら、さくらの服がぐちゃぐちゃになるし。
服ぐらいは脱ぐ余裕もあったんだろうけど、今となってはあとの祭り。こうなったらさくらは、一度イクまでは絶対に止まらない。
まあ、すぐにイっちゃうから、それほど大変でもないんだけど。
「あ……先輩……イきます……!」
思ったそばからさくらは背筋をぴんと伸ばし、体をぶるぶると震えさせた。俺のものをきつく締めつけながらも、微妙にその動きは続いている。
「はい、ちょっと待って」
俺はさくらの中から、ぬるりと物を抜く。
「いやあん……」
さくらは体を寄せてねだってくるが、こんなやり方ではあっという間に俺が潰れてしまう。そうなったらさくらも満足できないわけで。
「さくら、ばんざい」
渋々と手を上げたさくらの服を、ぽすっと脱がさせる。スカートのホックを外そうとすると、さくらも俺のシャツのボタンを外す。
30秒あまりの早業ですっぽんぽんになると、さくらを抱え上げてベッドに運んだ。
「いくよ」
「はい」
期待に満ちたさくらに一応の確認を取ってから、俺は分身をさくらの中に進めた。
「……はん……」
さくらが可愛い声で悶える。だがその動きは可愛いなんてものじゃない。
吸い尽くそうとするように、激しく複雑に動くさくらの中。
俺は必死で腰を動かしながらも、さくらの胸をまさぐる。発情期の間は少し膨らんでるみたいだけど、それを置いても最近少しグラマーになった気がする。
「あ……先輩……」
一分も経たないうちに、さくらは二度目の絶頂を迎えた。俺はまだ余裕があったので、引き続いて激しく腰を使う。
「ああ……もう……」
声も出ないまま続いて三度目の絶頂を迎えたさくらの中に、俺は薄膜ごしの欲望を吐き出した。